はずかしいこと

きっと数年後には恥ずかしいと思うのはわかってるけど何処かに書いておきたいあんなことやこんなこと

人間として生きる喜びを随所に感じました。(ダディ・ロング・レッグズ感想)

後方下手のはじっこで観劇。
去年色々観劇した結果、自分は帝国劇場なんかでやる人生自体を扱うような、スケールの大きいオケ付のミュージカルが好きだと感じ、規模の小さいものは観劇候補から外していました。
なのでこの作品も、恋愛物だし2人芝居だし…と観劇するつもりはなかったのですが、はじまってみたらいたるところで絶賛されていて、噂には聞いていたけどそこまで…?と。
悩みに悩んで、結局1枚譲っていただいて観劇。
結果、観て良かったです。下手にレポとか頭に入れてから観なくて良かった。全感覚が刺激される素晴らしい舞台でした。
以下、内容も含む感想を。

 

物語自体に対しては、一幕辺りはまぁ面白いなぁって感じだったんだけど、二幕からググググッと引き込まれていって、ジルーシャの卒業式辺りで2人の気持ちが交差していくのに気がつけばぐずぐず泣いてしまっていた。舞台をみて、ほろり、と泣くことや、ダーッと泣くことは多々あったけど、今回みたいにぐずぐず泣いたのは初めて。全くもって演者の気持ちに乗っかっている自覚はなかったんだけど、気がつけば自分はジルーシャであり、ジャービスであり、2人を見守ってきた誰かになってた。最後の最後、ハッピーエンドで終わるのはわかってたけど、いや、わかってるからこそ、気持ちを伝え合う二人のコミカルな演技に泣き笑い。泣き笑いってこういうこと言うんだなーって思いながら目元ぐっちゃぐちゃにして笑ってた。舞台をみててものすごく気分が高まることはよくあるけど、この作品はどこかでドシャーと感情が盛り上がるものではなくて、友達の恋愛相談受けて泣いちゃうみたいな感じ。二人それぞれから相談されてて、すれ違いのもどかしさにやきもきして、最後くっついたときには、おまえらもっとましなこといえないのかよームードってのあるだろーなんだよそれーバカだなーもうー・・・うっううっ(涙)って感じ。・・・自分でも何書いているのか分からなくなってきた。

(仕切りなおし)知らなかった世界を知っていくジルーシャの瑞々しさや、自分を見守っていてくれる人の存在が力になること、困難や憂鬱を想像力で乗り越えていく強さなんかは、原作の力だと思いますが、それ以上に、"舞台"としてとてもよかった。

 

始まってからずっと、「なんか暗いなー」って思ってたんだけど、夏休みに農場に行くようにと言われた後、ずっと閉まってた(ってか暗くてそこに窓があるの意識してなかった)窓を明けて。その瞬間薄暗かった世界に白い光が一気に広がるんだよね。
もうその演出がすごく好き。
開いた2つの窓から差し込む明るい光が、自分の記憶にある田舎の光そのものだったから。まぶしいくらいの白くて明るい光。その先に広がるどこまでも続く緑と青い空。
彼女がいる農場も、そこで暮らすジルーシャの生き生きとした気持ちもすっと心に入ってきて。観た日にツイッターに書いたときは「農場にきたって納得できた」って書いたんだけど、ほんと言うと納得というよりは、その光の下生きる喜びを思い出して、それから、窓1つでここまで自然に心が動いたことに対して、感動してちょっと泣きそうになった。
他にも光と影が印象的だったり、トランクつんだ山とか、どれもこれも自分の中の何かを刺激されるものばかりだった。
演出家って旧レミゼの演出家だったんだよね。。旧演出は観ていないから。。。。この人が携わっていたのなら本当に素晴らしいものだったんだろうな、と初めて納得できたし、観たかった!!って悔しい気持ちしかないよ。。。。なんていうだろう、心の扉のノックの仕方がとても上手なんだよね。静かにコンコンコンってノックされた気分。

窓から差し込む白い光
秘密がつまった屋根部屋のトランク
初めてのニューヨーク
二人で登った山と、一人で登る山

 

そのひとつひとつに対して、彼らが歌に乗せて語る感情と、自分からもあふれる感情が重なる。

あの白い光を浴びたときの気持ち
誰にも見せたことのない、小さな自分を見つけてもらえた気持ち
初めてのものに出会ったときの気持ち
誰かを恋しく思う気持ち

どれも普段は忘れているけど、心の端っこにある感情。我々人間の喜びとは、こんな風に何かを感じ、心を奮わせる瞬間そのものを指すのではないだろうか。。。なんてことまで考えちゃった。そしてまさに今、この舞台を見ていてこんなに心が奮えてる!!!あああああーん幸せ!!!!!あたしっ生きてる!!!(暴走)

あと!!!あれですよ!!!!芳雄さんの歌!!!!
素晴らしかった!!あの人は!なんなんですか!

3曲目?ぐらいの真綾さんの声にのせてくるのかな?そんな感じで芳雄さんが歌い始めた瞬間、本当に冗談でもなんでもなく、身体全体にぶわってきた。
あ、これもツイッターに書いたな。この間シャーロックで浦井さんの声聴いた瞬間は、心にギューッときて(心筋梗塞ではない)、浦井さんの声は心に直行してくるなーと思ったんだけど、芳雄さんはそれとは違って、身体全体に・・・なんていうんだろ、降りてくる?って感じ?なんて例えたらいいかわかんないんだけど、もうほんと、ツイに書いたとおり、あたしの身体が、いや、あたしの細胞が喜んでおられる・・・!って感じ。たぶんあたしの体内の悪玉菌が何個か死んだと思う。
つい先日StarSイベントでも聴いたし、それこそ通勤時間に毎日1回は芳雄さんの声聴いてるんだけど、もう全然違うね。劇場で聴くって全然違うわ。すごく良かったー。次に役者としての彼の歌声を聴くのは年末のMだと思われるので、結構今からドキドキしてる。
役的には、ジャービス坊ちゃまのツンデレ具合にニヤニヤ萌え萌えする話なのかなーって思ってたんだけど、そんなことなくて、むしろ最初から最後までデレ。自分の書斎にジルーシャからの手紙を貼り付けるとか大丈夫?って感じだったし、ジルーシャに男の影が見えると速攻阻止しにかかる慌て具合とか必死な様子とか、人を愛するやり方がわからなくてもがいてる感じがすごくコミカルだったし、とても愛しかった。StarSとかの雰囲気みてると芳雄さんって熱量低くみえるんだけど(やる気ないとかじゃなくて、感情のふり幅が激しくなさそうっていうか)、なんであんな演技できるんだろう。がつがつしてないように見えるのに、がつがつしてる演技も自然なんだよな。。人には見せない引き出しが心の奥ーの奥ーの奥ーーーーのほうにあるんだろうか。

 

舞台が終わった後の拍手がとても暖かくて、激しくはないんだけど、いつまでも途切れることがないだろうな、って思った拍手でした。役者や携わっている人たちに届けば良いな、と心底思う。

見上げたら演出家のジョン・ケアード氏もいらっしゃったので、心のなかで拝んでおきました。(もはや神)伝えられるならこの感動した思いの丈を思い切り伝えたいよ…。
本当に素晴らしい舞台でした。
でも今すぐリピしたいかって言われるとそんなことは無くて。数年に1度見れると嬉しいって感じ。それはつまり1公演の満足度が凄く高いってことだと思います。退屈だなって人はいると思うけど、この舞台を嫌いになる人はなかなかいないんじゃないんだろーか。

あ、気がつけば坂本さんについて何も書けてないや。。。
それは再演で。。。今度はしっかりチケットとって、絶対良い席でみる!!
そんなわけで、ダディロングレッグズは噂に違わない良作で、個人的には人間として生きる喜びや幸せを再認識できた舞台でした。
今日も明日も、出会う全ての人や出来事を、全身で感じながら生きていこうと思います。